ドイツ高級キッチン輸入販売の最大手「エスアンドエイチジャパン(株)」(東京都中央区日本橋堀留町1-4-16)が大幅な債務超過の上、平成29年2月28日に特別清算を開始しました。
エスアンドエイチジャパン解散のあらまし
エスアンドエイチジャパンは、前々からジーマティック社のキッチン販売について経営的に困難な状況ではないかキッチン業界では大方の予測はありました。
負債総額は約25億円。
平成2年11月の設立よりドイツ・ジーマティック社の総輸入販売元として、同社製のシステムキッチンの販売施工などを手掛けており、ピーク時の平成20年3月期には高級マンションのシステムキッチン販売でゼネコンや大手不動産会社などをメインに44億2588万円の売上高をあげていた模様です。
しかしながら、その後は高級マンションの低迷、販売単価の低下、仕入れコストの増大などで平成23年3月期には売上高が9億352万円に低下。
24年3月期~26年3月期には一時回復基調にあったようですが、ここ近年は更に厳しさを増し、28年3月期の売上高は7億5000万円程度だったようです。
また、過去のデリバティブでの多額の損失や、売上低下による赤字計上など大幅な債務超過も経営を圧迫しました。
そのような中で、平成28年6月に社長が亡くなられ、その後の経営を引き継ぐ後継者も不在ののまま、同年10月にキッチン販売事業を(株)エスエムダブリュ・ジャパン(東京都港区)に譲渡し、清算処理を進め29年2月15日の株主総会の決議により解散したのです。
ドイツ輸入キッチンの将来
一世を風靡したドイツキッチン。その代表的なブランド「ジーマティック」。
エスアンドエイチジャパン㈱の設立は平成2年11月。
今年で創業27年だったのですね。
平成2年といえば、日本でのあの過剰なまでのバブル景気は、1986年(昭和61年)12月から1992年(平成4年)2月までの52か月間でした。
エスアンドエイチジャパン㈱はそのバブル終盤近くに設立されました。
そのバブル当時はドイツ製キッチンは、1000万以上の価格であっても飛ぶように売れていた時代です。
「ジーマティック」の他に「ポーゲンポール」「ライヒ」「ツアイコ」「スナイデロ」など、そうそうたる輸入キッチンのショールームが東京や大阪に出来たものです。
バブルが終了してジーマティックを除きそれらの輸入キッチンショールームは、一斉に姿を消しました。(ポーゲンポールは輸入代理店をアクタスとして復活)
そのような栄光の過去はありますが、将来はどうなんでしょうか?
「ジーマティック」は新しい日本総代理店としてカッシーナ・イクスシー下の㈱エスエムダブリュ・ジャパンが今年3月3日に青山にショールームをオープンさせています。
私の個人的な見解では、決して楽な道ではないと考えます。
今のキッチンマーケティングにおいて、ドイツ輸入キッチンブランドは差ほど必要はなくなっています。
一部の裕福層のニーズはありますが、客層は細分化されていますし、またその裕福層もキッチンについて以前ほどの予算を組まない傾向にあるからです。
新しい経営体制のもとドイツキッチンの真価が問われることになります。